ジュンコさんのCDラック

無趣味なワタシはほとんど音楽を聴かない。

ラジオから流れる誰かの曲を聴くことはあるが、CDをセットして聴きたい曲を聴くということはない。

音楽が好きな人からすれば驚かれると思うが、ワタシは自分のCDというものを1枚も持ってないのです。

いつからこうなんだろう。

若いころはCDやレコードを何枚か持っていたような気がする…

 

 

二十数年前、ワタシは本やレコードなどを販売する大型複合店の店長をしていた。

それぞれにバイヤーがいたのでワタシに専門的な知識が無くても問題は無かった。

書籍売り場には車や美術系の洋書が豊富にあり、CD売り場にはLPレコードを1万枚近く在庫するとんがった店だった。

県外からもそれらをお求めにくるお客様が大勢いた。

ある時、福井でクラブ(お姉ちゃんがいるクラブではないですよ)をやっているという方に

『店長さんはどんな音楽を聴くんですか?』

と訊かれたことがあった。

当時から髪を束ねひげを生やしていたワタシの風貌に、きっとこの人は音楽にウルサイ人なんだろうなと思われたのだろう。

『いえ、音楽はほとんど聞かないんです』

と答えると、その方は一瞬驚いたような顔をされたが、うまいジョークだと思ったのか笑ってくれた。

 

 

 

ジュンコさんはフラメンコダンサーで、うちのカミさんも彼女にフラメンコを習っている。

カミさんによるジュンコ評はとにかく基本がしっかりしているという。

今までいろんな人に習った経験があるカミさんは、何となくモヤモヤと理解しきれていなかったことが、ジュンコさんに習って初めて「なるほど!こういうことだったのね!」という感覚をたびたび得るらしい。

 

 

そのジュンコさんから、こんな棚が欲しいという依頼があった。

これくらいの大きさで、棚板の間隔は〇〇cmくらいで…

何に使うんですか、と尋ねるとCDを収納するらしい。

ワタシ、自分ではCDを持ってないけど〝CDラック〟はよく作るんです。

壁に付ける2~30枚置けるものから、小物入れのようにたくさんの引き出しがあって300枚以上入れられるものまで十数種類は作った。

その中でもジュンコさんのCDラックは最大級。

話を聞きながら紙に絵を描いていると、ああ、アレならイメージに合うCDラックになりそうだなというのが浮かんだ。

コレです。

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以前、K様からオーダーをいただいた子ども用のワードローブです。

ハンガー用のバーは後からつけるようにして、ワードローブ以外の家具に転用できるように4台作ったのです。

 

20cm感覚で3枚棚板を付け、出来上がったのがコレ。

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深めの色が好みのジュンコさんのご希望はチークカラー。

引き出しに取っ手を付けて出来上がり。

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とてもシックなマンションの、畳のお部屋に収まりました。

 

 

それにしてもこのCDラック何枚入るんだろ。

CDケースの厚みが約1cmとして…約900枚!!

 

CDを1枚も持たない身としては天文学的数字です。

禁煙

ワタシ、煙草を吸いませんが昔は吸っていました。

吸い始めたのは22歳。

学生時代は運動部だったので引退するまでは吸わなかったのです。

やめたのは42歳。

喫煙歴は20年ですがその間に何回か禁煙をしました。

禁煙しても失敗してまた吸っちゃったんだろって?

確かにそうなんですけどね。

 

 

ワタシは簡単にタバコを止められる体質だったみたいで、禁煙を宣言すると枕元に中身の残ってる煙草の箱があっても我慢できるんです。

その〝体質〟を知らない友人とよく賭けをしました。

飲んでる席で、禁煙する、ホントかよ、賭けるか、よ~し、てな感じで何かをかけるのです。

相手は、ツバキ飲んだ調子で禁煙宣言しちゃったよシメシメ、くらいに思っているのです。

禁煙の賭けも期限を設けなければ勝負はつきません。

1週間くらいじゃナントカ我慢できるかも。

半年だな。明日から半年吸わなかったらお前の勝ち。

吸ってんの見たり、オレ以外の誰かが見てもアウト!

こんな感じでだいたいいつも半年です。

そして賭けは毎回ワタシの勝ち。

勝負が付いたらまたすぐに吸い始めることもあれば、1~2年くらいやめたこともあります。

いずれにしても

「オレ、すぐやめられるから…」

と、また始めてしまうのです。

 

 

 

 

16年前、カミさんが金沢の日赤病院で息子を産みました。

帝王切開だったので産まれる時間は決まっています。

私は病院の外でタバコを吸っていました。

雪のちらつく日でした。

そろそろ生まれたかな、と病室に戻ると看護婦さんがバスタオルにくるまれた、産まれたばかりのムスコを抱いていました。

抱いてあげてください、と渡されました。

ワタシは自分の肺の中に残っている微量なニコチンが生まれたばかりの息子に届くことを恐れ、息を止めました。

 

その日から最後の禁煙が始まり今日で16年です。

そして息子は16になりました。

勉強机と熊本地震義援金

10月29日にメールが届いた。

「つばきやさん、こんにちは。10年以上前につばきやさんで購入した勉強机、引っ越しの都度、ずーっと一緒に持ってきていたのですが生活環境の変化とともに手狭になってきたため手放そうと思います。譲り手がいないため処分かと思ったのですが、気に入っていたので処分も気が引けて悩んでいます。こんな時、処分以外でどこか引き取ってもらえるところなどあるものでしょうか?教えていただけますと幸いです。金沢市 Y」

おっしゃる通りです。

処分はさびしい。

そこでご提案をした。

つばきやのフェイスブック上で譲り手を募ってみてはいかがですか?

きっと、あっという間ですよ。

 

 

しかしなあ…

先着順というのは、昼はお仕事でフェイスブックを見ることができない人がいるし、夜は家事などで見れない人もいる。

いつフェイスブックにアップするかで不公平感が出るよなぁ…

抽選か?どうやって抽選する…

と悩んだ末、入札形式をとることにした。

お金を出してまで〝欲しい〟という方のところへ行けばその机も大事にされるに違いない。

Y様に入札形式をとること、そしてそのお金は熊本地震義援金に寄付するというご提案をご了承いただいた。

 

 

Y様宅にその机を引き取りに行くと、それは思っていたよりもずっとキレイな状態だった。

10年間、大切にお使いになっていただいたのがよくわかる。

机を見て思い出したが、アレですよ、この机チーク材で作られている。

今ではチークの価格は10年前の4倍になっていて、同じ物を作ったら倍の値段で売っても割に合わないっつー代物です。

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店に展示して、入札票と票を入れる箱を置いた。

「最低価格の設定は無し。1円からOKです。この値段で買えたらラッキー!という数字を書きましょう。どーしても欲しいときはちょと高めに」

 

展示すること8日間。

たくさんのお客様が、特に土日はその机を見に来られた。

締め切り日の営業が終わってから、さあ開箱。

 

一番高い価格はK様の2万円だった。

K様は入札の時に悩まれていた。

想像していたよりも机が大きかったからだ。

机を設置するのは2階で、階段が狭いから上がらないような気がする、とおっしゃっていた。

「もし落札できたらとりあえずトライしてみましょう。どうしても無理だったら時点の方に譲ればいいし」

とお伝えしたのを思い出す。

 

K様に、落札できましたよとメールを入れるとしばらくして電話があった。

「主人と相談したんですけど階段、無理だと思うんです。残念ですけど今回は見送ります」

とのこと。

 

 

ということで次点のS様へご連絡。

次点だったのですがこういういきさつでS様が落札されました、とお伝えするとS様宅も設置は2階とのこと。

でもS様は上げる気満々で、もう階段の手すりを外してしまったらしい。

先週の土曜、机を積んで金沢市のS様宅へ。

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とりあえず設置場所を確認するために階段を上がるワタシとフジタの胸中はこうだった。

(いや~無理なんじゃないの~)

机のサイズの一番小さいところが70cm。

階段の幅は77cm。

でも真っ直ぐな階段じゃなくて途中で90度方向を変えなければならない。

とりあえずやってみよう。

 

 

結果…何とか入りました!!

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最後の難関はココ

ご子息の部屋へはドアを外してソロリソロリ

あと1cm大きかったら入りませんでした

 

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ということで来年小学校に上がる(たぶん)息子さんの机、設置完了。

そして本日、熊本地震義援金に18000円を送ってきました。

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トイレと洗面

先日は木の香あふれるS様の新築に、テーブルと椅子を納品。

マホガニーの無垢天板のダイニングテーブルと、座面が少しワイドでゆったり座れる椅子を4脚。

テーブルとイスはもちろんおススメですが、でもね、ホントにお見せしたかったのはトイレと洗面なんですよ~。

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トイレの手洗いです。

高岡の女性作家、たこあつこさんの陶製手洗いボウルが載っているのはアメリカネムノキの天板。

日立のCM、『この~木なんの木、気になる木~♬』の樹です。

左側の突部はチェーンソーの跡を残して。

そしてタオルハンガーは思い切りシンプルにアイアンで。

 

 

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こちらは洗面。

あるお客様のオーダーで作った700×900のカガミ、販売価格を抑えようと10台作ったのですが、もうなくなりそうです。

S様邸にも採用していただきました。

あ、フジタが映っちった。チッ。

 

 

 

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床がナチュラルなので家具は少し濃いめに。

5cmの耳つき天板は迫力あるでしょ。

 

 

 

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ワンコスペース。まだ2歳のワンコは元気いっぱいでした。

 

 

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3階までの吹き抜けです。

 

 

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上から見るとこんな感じ。

ああ、またフジタがいる…

 

 

実は我が家も来月、バスルームのリフォームです。

ついでに洗面もいじるのですが、カガミはカミさんが気に入ったS様邸と同じ700×900のもの。

次々と売れてゆくカガミを見て

「なくなっちゃう!とっといて!」

と言われ、1台は我が家用なのです。

 

でもね、12月にはまた10台入ってくるんですよ~。

教えたくない宿

我が家のムスコもいつの間にか高1。

もう親といるよりも友達と過ごす方が楽しい歳になった。

自分がその年代の頃のことを振り返ってみてもそうだ。

 

 

仕事柄ムスコが幼いころから海外に連れて行った。

小学校へ上がるまでは年に4~5回いろんな国へ行った。

タイ、ベトナム、インドネシア、中国、台湾、etc…

だが、小学校に入るとそうもいかなくなる。

「ちょっと出張のついでにムスコも連れていきますので学校休みます」

とは言えない。

だから学校に上がってからはムスコを連れていくのは私の出張と学校の春休み、夏休みなどとが重なったときに、何年かに一度の割合になった。

出張先の、取引のある人たちも、だからムスコの印象は今でもオムツをはいてよちよち歩く『シンチャン』だ。

当時アジアではアニメの『クレヨンしんちゃん』が大流行していて、ムスコの名前がシンチャンだというとレストランのコックさんが厨房から出てきて『シンチャン』を見に来た。

 

 

親と一緒に旅行に行くのはもう最後だろう。

そう思ったので今年の夏は家族でインドネシアへ。

インドネシアの玄関口はバリ島。

バリには今ではほとんど取引先が無く、仕事の主戦場はジャワ島だが、リラックスできるのはやっぱりバリ。

いつもはひとり旅でスケジュール優先で素通りしてしまうのだが今回は仕事3割家族サービス7割。

「仕事」前にバリで3日のんびりすることにした。

「のんびり」に大事なのは宿。

ここにはワタシにとって、とっておきの宿がある。

 

 

十年ほど前にバリフリークの日本人のサイトで人気ナンバーワンになったことから予約を取るのがとても難しい宿になったのがアラム・ジワ(Alam Jiwa)。

二か月以上も前に予約したのに10室中空いているのは1室だけ。

7人泊まれるスィートだけ。

昔、宿泊客がいないときにこのスィートの部屋を見せてもらったことがあり、一度泊まってみたいなと思っていたので即予約。

 

 

家族で最後にバリに来たのは5年前。

その時もここに泊まろうと思ったがやはり満室だった。

5年前に泊まったのは渓谷の宿で、そこにはプールが無かったのでアラム・ジワまでプールに入りに来た。

支配人のコマンさんはゲストでもない私たちに

「オカエリナサイ」

と優しく微笑み、胸ポケットから取り出したハーモニカを吹いてくれた。

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そのコマンさんも3年ほど前に亡くなった。

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合掌

 

 

ところでこの宿をホテルと呼ぶのには違和感がある。

机の上を歩くカラフルな虫。

壁に這う小さなヤモリ。

朝に聞こえる鳥の声。

窓の外、遠くに見える農夫。

設備の整ったホテルを期待している人には不快に感じることがあるかもしれない。

 

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石の洗い出しの小道の横には小さな川が流れる。

 

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小道の突き当りにあるスィートの入り口。

 

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玄関は3階建ての2階部分にあり、階段を下りると1階はキッチンのあるダイニングルーム。

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2階のベッドルーム

 

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2階のリビング

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ここでもゲームかい

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2階のバスルーム

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2階と3階にはそれぞれベッドルームとリビング、バスルームがある。

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3階のベッドルーム

 

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3階のリビング

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3階のリビング

 

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デスクがふたつ。一度も使いませんでしたが…

 

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窓から

 

 

ところで昔は宿泊客の8割が日本人だったけど今回は欧米人の姿しか見ない。

その理由を尋ねると最近は欧米からの予約が増え、日本からの予約を受けずらくなったということらしい。

いつも来てくれていた日本の〇〇さんや△△さんの予約を断ることになり残念です、と言っていた。

トリップアドバイザーの罪ですな。

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スィートと言っても価格はTAX&サービス料込みで1泊236ドル。

今円高だから24000円くらいです。3人で。

ひとり8000円ですよ。

日本だったらビジネスホテルの値段です。

でもね、一度は泊まってみたかったスィートだけど我々3人家族では手に余った。

3日間の滞在で1階と3階は〝見に行った〟だけでほとんど使わなかった。

デラックス(83~100平米 125ドル)、ライスフィ-ルドビュー(61~77平米 105ドル)で十分です。

http://www.alamindahbali.com/alam_jiwa.htm

 

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アラム・ジワの宿泊料の領収書は手書き。

ここは予約帳もレシートもすべて手書きです。

パソコンでプリントアウトっていうのはここにそぐわない。

 

 

ところでこの宿はバリのドライバー、カデ君が教えてくれた。

彼はこのアラム・ジワとドライバーの契約をしている。

客が要望すればホテルのドライバーとして客を乗せる。

 

十数年前、彼がいい宿があると言ってここを教えてくれた。

どんな風に良いのか尋ねると、スタッフが良いと言った。

箱がよくても、宿の評価を決めるのはそこで働いている人たちだ。

彼らはフレンドリーで、でもゲストとスタッフの立場をわきまえていて、客がここの滞在に感動することを自分の喜びとしている。

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3日間の滞在を終え出立するときにアラム・ジワのスタッフがこう言った。

「イッテラッシャイ」

また帰ってきてください。その気持ちを込めてなんだろうね。

 

こんないい宿があるよって、教えたいような教えたくないような、複雑な気持ちです。