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米粒の思い出
カミさんが車の鍵をなくして見つからない。
家の中のどこかにあるんだけど、見つからない。
家じゅうを探していたらこんなものが出てきました。

なんだと思いますか?
赤い布の上に小さな白い粒が載っていて、それを上の虫眼鏡で見ることができます。


米粒に毛筆で「金沢椿屋 平成十九年一月二十六日」と書かれています。
平成19年といえば16年前。
その年まで金沢の有松で「金沢椿屋」という名前で店をやっていたので、その屋号を書いてもらったのです。
小さすぎて、肉眼で見てもなんて書いてあるのかさっぱりわかりません。
すごいでしょ~。
米粒にはまだまだ余白があります。
有松から今の野々市に移転する前に、何か目新しいものを仕入れようと北京最大の骨董市場「ハンジャオイエン」に行った時のこと。
週末には5万人が訪れるという巨大マーケットです。
ホテルの前のタクシーに乗り、「潘家園」と書いた紙を運転手に見せたら、運転手は「ナントカカントカ」と言ってきたけど、全然わからないや、という風にジェスチャーするとうなずいて発車、そして何の問題もなく到着しました。
ガイドブックには掘り出し物を見つけたければ早朝に行くといい、と書いてあったので、確か5時頃に到着したおぼえがあります。
季節は冬。
北京の冬は厳しく、気温はマイナス10℃まで下がり、川は凍っていました。
骨董市といっても本物かイミテーションかの区別がつかず、私のような素人は店構えで判断するしかありません。
イミテーションは、それはそれで楽しめる、突っ込みどころ満載のものがありました。
例えば真鍮でできた小さな鳥かごの中に、枝にとまったこれも真鍮の小鳥がいて、ぜんまい式のねじを回すとその枝と小鳥がカチカチと回りだす。
そしてそれはどうも時計らしく、ある一定の時間で一周し、鳥かごの底には目盛りのような刻印があるのです。
その見た目は古びていて、100年前のものと言われればそうも見える…
なるほど、中国っぽいデザインと仕掛けだな、と思っているとなんと鳥かごのてっぺんにはスイスの高級時計ブランド「オメガ」のマークが…
んなバカな (笑)
そんな店を冷かしながら歩いていて見つけたのが米粒の〝実演販売〟。
米粒に書いてほしい文字をこの紙に書きなさい、と言われ「金沢椿屋 平成十九年一月二十六日」と書いたのです。
「沢」という字は中国にないのでしょうか、「三尺」みたいに書かれています。
値段はいくらだったか、もう憶えていません。
憶えているのは当時北京に暮らしていた知人に連れて行ってもらった店の料理が美味かったこと。
また行きたいな~。。
そしてこの年の3月に野々市の「つばきや」はオープンしました。