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『電柱Reborn』セカンドステージ
作業場前にあった木製電柱がコンクリート製の電柱に取って代わり、工事の人にその木製電柱くださいと頼んだらちょっとムズカシイんですよと言われたところから始まった『電柱Reborn』。
いろんな人に助けを借りて、役目を終えた木製電柱を手に入れることができ、それをいくつかの製品に仕上げた。
電柱Reborn – つばきや (tubaki-ya.com)
棚板やトイレットペーパーホルダー、タオルハンガー、ベンチなど。
古木電柱再生の取り組みは新聞やTVにも取り上げられ、町内のおばあちゃんからは「あの人、電柱で家具作っとるんよ」と言われた。
しかし古木電柱は一筋縄ではいかなかった。
古木電柱を製品にするには製材(丸太をスライス)して、板状にしなければならない。
製材所に持ち込んだ古木電柱にはおそらく広告物を留めたと思われる釘が入っていて、それがバンドソー(簡単に言うと大きなのこぎり)の刃を破損させる可能性があるとのこと。
最初の製材屋さんには「1回目は切ったけど2回目は難しいね」と言われた。
2軒目の製材屋さんにその話をしたら、ソロソロやれば大丈夫じゃないかな、と言ってやってくれたけど、やっぱり次はカンベンしてくださいと言われた。
そんなわけで古木電柱を手に入れても板にできなければお手上げなのです。
あれからはや2年。
時々話題には上がるけど、そんなこともあったな感が漂う『電柱Reborn』ですが…
先日、金沢美大の彫刻科の学生・卒業生たちと古木電柱の話で大盛り上がり!

古木電柱を彫刻の材料にしたい、それも電柱再生をテーマに。
『電柱Reborn』復活、いやセカンドステージです。
2年前に電柱譲渡の窓口となってくれた北陸電力送配電 経営企画部 事業領域拡大チームのSさんに連絡。
美大の学生・卒業生に彫刻の材料として電柱を提供したいと申し出ると快くご了承いただいた。
8月21日、この日も最高気温35℃の猛暑日。
学生・卒業生4人と私、カミさんの計6人で懐かしの電柱置き場へ。

ここに置かれている古木電柱は粉砕された後廃棄される。
古木電柱は産業廃棄物なのです。

北陸電力送配電の方も立ち会いに来られた。
2年前にお世話になった事業領域拡大チームのSさんも来られ、これが初対面。
名刺を交換するとSさんの肩書は送配電部長になっていた。

学生たちがチェーンソーで電柱をカットする間、電柱にまつわる話をいろいろ聞かせていただいた。
これが実に面白かった。
今は木製電柱をコンクリート製の電柱に交換していっているけど、沖縄のある地域では景観上の理由からコンクリート製の電柱は使わず、今でも木製電柱を使っているので新品の木製電柱があること。
これも沖縄の話だけど膝くらいの浅い海を歩いて渡る島へは海に電柱を立てるのだけど、コンクリートは海水に腐食するのでここも木製電柱を使っていること。
コンクリート製の電柱も木製電柱と同じく上に行くにしたがって細くなっているけどそれには理由があって、いろんな器具を取り付けた鉄輪が下がってこないようにするためだということ。
その細くなっていく傾斜は、75cm高くなるごとに直径が1cm小さくなっていること。
電柱の中は空洞で、周りのコンクリートの中には鉄筋が入っていて、その鉄筋を強い力で引っ張ったところにコンクリートを巻きコンクリートが固まったところで鉄筋の引っ張りを開放すると鉄筋が縮もうとする力で電柱の強度が増すこと。
コンクリート製の電柱1本の原価は4~5万円だということ。
などなど、さすが電柱のスペシャリスト。
炎天下の下ではなく涼しいところでもっと聞きたかった。
学生たちは文字通り汗みどろになり、2メートルほどに切った電柱を10本ゲット。




この日のためにチェーンソーを新調したT君は、オレは太いのが欲しい、と主張し4本を彼のアトリエへ運んだ。

太いのが欲しい、というからには彼の頭の中にはもうどんなものを作ろうという設計図があるのかもしれない。
さあ、どんな作品が生まれるのだろうか。