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古椅子と養蜂箱
ジョグジャカルタの南部には〝リプロ〟と呼ばれる家具工房が点在する。
〝リプロ〟とは 〝リプロダクト〟 の略。
古い、壊れた家具をどこからか仕入れてきて再生させる。
再生前の、まるでガラクタのような家具が、古家具の雰囲気を残したアンティーク調の家具に生まれ変わる。
最初はガラクタを見せられ、値段を聞かされ戸惑ったものだが、今はガラクタから生まれ変わった製品を連想できるようになった。
リプロ家具屋の中のひとつに 『デュラン』 という工房がある。
街道から路地に入り、住宅街の中にあるその工房は、昔 人力車夫をやっていた ワルシディおじさん がオーナーで、彼の息子二人を含めた職人が11人いる。
値段も高いことを言わず、こちらの要求にもうまく応えてくれるので付き合いが長くなった。
その、街道からワルシディの工房へつながる路地に入る角には、蜂蜜を製造している工場があった。
工場の庭には養蜂用の箱が積まれていた。
何とも味のある箱だった。
ワタシとひととおりの商談を終えたワルシディは 「ほかに欲しいものはあるか?」 と訊いてきたので、あの箱が欲しいと言うと、首を横にフリフリして笑った。
アレは売り物じゃない、ということなのか自分のものじゃないから売れないよ、ということなのかよくわからなかったが、ダメなのね。
数年前のことだった。
今年の5月、1年半ぶりにワルシディの工房へ行った。
面白いものがある、と言って連れて行かれたのが住宅街のはずれを流れる川のほとり。
昔、学校や図書館・病院などの公共機関で使われていた椅子を払い下げたらしい。
こんなもの、売り物になるの?と思うでしょ。
でもちゃんとなるんです。
このガラクタを見て、下の写真の姿を想像できるようにならなくてはイケマセン。
形もサイズもバラバラですが、見事に復活した古椅子
¥9800 (¥10584)
ワルシディおじさんは全部で40台あるって言ってた。
エラそうに 想像できるようにならなくてはイケマセン、なんて言ったけど、やっぱり少し不安だったので仕入れたのは10台だけ。
でも、しっかりと作られていました。
欠損した部分に使われているのは古い家屋の解体材だそうです。
シンプルな、いかにも 「学校の椅子」 な感じだけど、新材には出せない風合いがある。
もうちょっと買っときゃよかったかな・・・
古椅子の商談を終えた後、ワルシディおじさんは思い出したように私をどこかに案内する。
テクテクと路地を歩き、何回か角を曲がると広場に出る。
そこに積まれていたのはあの養蜂箱だった。
蜂蜜工場は廃業し、この箱をワルシディが引き取ったらしい。
数年前にワタシがこの箱を欲しがったのを憶えていたのだ。
長年、養蜂箱として使われ、その後雨ざらしにされた箱は汚れている。
(きたねえな・・)というワタシの心の声を察知したように、ワルシディおじさんは 心配ない、キレイにするから、と言った。
ワタシの心配は杞憂におわり、8月13日に着いた養蜂箱の汚れはすっかり取り除かれていた。
やはり、何とも味のある箱だった。
この箱を見てカミさんが言った。
「欲しーーい!ひとつ買ってもいい?」
また我が家にモノが増えるのか・・・
W55×D45×H32
¥3900 (¥4212)