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漢方薬煎じ器
つばきやの陶器の仕入先の話は以前にも書いたことがあるのでご存知の方も多いと思いますが、最も安く、たくさん仕入れているところがチェンマイのワサナ・セラミックス。
いろいろな説明を省いて簡単に説明すると、要するに陶器の製造工場の余りモノ。
メリットはとにかく安いこと。
以前にも書きましたが市価2520円のマグカップを300円で売れたりする。( 「知らなかった。」 )
当然、デメリットもあります。
数量が半端だったり、リピートのオーダーが出来なかったりするのです。
そしてもうひとつ。
デメリットと言うんじゃないけれど・・
なんというか、ため息とともに、脱力系の笑いが出るのです・・
なんだかわからないものがある。
これです。
表面には貫入(細かなひび割れ)が入っています。
セラドン焼きやベトナムのバッチャン焼きなどに見られる独特の文様です。
上に載っている丸いドーム上のフタをはずすと、中には小さな穴の開いたもうひとつの入れ物が入っています。
この不思議な容器は三つのパーツからできています。
内側容器に開いている小さな穴。
茶漉しのようですが、外側の容器には急須のような取っ手が無い。
いったいこの容器、なんだと思いますか?
当然ワタシもワサナ・セラミックスの社長にこの質問をしました。
彼はすぐに答えず、斜め上方を見ながら少し考え、お、そうだ、てな感じで話し出しました。
彼の乏しい英語力と、それに輪をかけたワタシの貧しい英語力のやり取りで得たのは、つまりこういうことです。
「これは自然な薬を入れて、お湯を入れて、それで飲むものなのだ。」
つまり、漢方薬や生薬を煎じるヤツってことなのです。
その時にはなるほど、と思いましたがよくよく考えて見ると、煎じるだけならヤカンや小鍋の方が使い易い。
それに、熱湯を入れたら、この取っ手の無い入れ物は熱くって持てない。
そういえば、なんに使うのって訊いたときに、あいつ上を見て困った顔をしてたよな・・
以前、彼の会社の倉庫に行ったことがあります。
おびただしい量の段ボール箱や木箱が山積みになっていました。
何か掘り出し物はないかと探していたとき、未開封の段ボール箱を指し、中身は何なのか彼に尋ねました。
すると彼はこう言いました。
「わからない。」
おそらく彼は陶器工場から一山いくらで買ってくるのでしょう。
引き取ってきた箱の中身は開けるまでわからないのです。
あの、漢方薬煎じ容器だって、きっと彼がとっさに考えた用途に決まってます。
直径、高さとも約10cmの結構立派なこの容器、いったい何のためのものだと思いますか?
※追記
この不思議な容器、ボチボチ売れてます。こっちの方が不思議です。
700円