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やっとわかった



先月の出張時、久しぶりに新しい取引先と出会った。

 

つばきやのベンチの素材は、現地ジャワで〝munggor(ムンゴル)〟と呼ばれている樹木です。

この木の一枚板で座卓やダイニングテーブルを作りたいと思うのだが、今の取引先の家具工場では、一枚でテーブルの天板になるような大きな材料が手に入らないという。

なので、ある人の伝手でムンゴルの大径材を扱う工房を紹介してもらった。

先方とは5月24日に会う約束をしていたのだが、その日の未明、工房のオーナーの父上が亡くなり、彼は故郷のスラバヤへ戻り商談はご破算になった。

だが彼はなかなか義理堅い人だったようで、代わりに、と別の工房を紹介してくれた。

その、新たに紹介された工房は宿泊しているホテルから車で20分ほどの住宅街の中にあり、間口は狭かった。

ところが中に入ると作業場も、ショウルームもかなりのスペースがある。

そして、何よりも驚いたのがその作品。

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上の写真は何に見えますか?

ベンチ状のものの上に無造作にバスタオルが掛けてあるように見えるけど・・・

でも、よ~く見るとベンチ座面の木目がバスタオルにつながっている。

そう、一本の木でできているのです。

一本の木を削り出してタオルのヒダヒダや質感を表現しているのです。

素材はつばきやのベンチと同じムンゴル。

あるホテルからの注文で、ロビーに置くのだという。

 

でも、こんな木の塊のようなもの、重くて持ち上げられないんじゃないの?と思ってグッと持ち上げたらアラ不思議、意外と軽い。

タネ明かしはこのベンチをひっくり返すとわかる。

外側を5cmくらい残してくり抜いてある。

残す部分を5cmよりも薄くすると割れが生じやすくなるらしい。

このほかにも思わず感心するような作品をいくつか見せてもらった。

 

この日は一枚板のテーブルを注文するつもりでやって来たので、まさかこんな細工を得意とする工房だとは思ってもいなかった。

とりあえず、目的の一枚板テーブルは注文してきたが、この技術を活かした作品を次回はオーダーしてみたい。

ワタシがこの工房のオーナーに

「あなたはアーチストだね」

と言うと、彼はこう答えた。

「あなたが絵を描いてくれば、私はその通りに作る。

 なぜなら私はアーチストではなく、クラフトマン(職人)だからだ。」

 

彼はインドネシア国内の2000種の樹木を見分けることができる、と言った。

そこでワタシは長年疑問に思っていたことを彼に尋ねた。

それはつばきやのベンチの素材〝monggor(ムンゴル)〟についてだ。

〝munggor(ムンゴル)〟はジャワでの呼称であるらしく、バリ人に訊くと知らないという。

バリにも同じような木が有り、それをバリ人は〝suar(スアル)〟と呼ぶ。

そしてジャワの取引先の家具工場のオーナーは ムンゴル = スアル だと言う。

ムンゴルとスアルは同じ木なのか?と尋ねると、彼は紙に絵を描きながら説明を始めた。

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「ムンゴルの英名はSamanea wood と言う。ただし、この Samanea にはインドネシア国内に3種類の樹木がある。ムンゴル、トランブシ、チクロだ。ムンゴルとトランブシは同じ木だがオス、メスがあり、ムンゴルがメス、トランブシがオス。ムンゴルは花が咲き、結実する。トランブシは花が咲かず実もならない。チクロは同じ種だが別の木で、見た目は同じ木に見えるが比重が軽く、持つとその違いがわかる。この3種類の木をバリではスアルという総称で呼び、ジュパラ(インドネシアの有名な家具の産地)ではMeh(メ)と呼ぶ。」

長年の疑問が氷解した。

ジャワではムンゴル、トランブシ、チクロという3種類の木を、バリでは〝スアル〟という総称で1種類の木として呼んでいたのだ。

お客様に、これは何という木ですか?と尋ねられ、そのたびに、ジャワではムンゴルと呼ばれている木です、としか答えられなかった。

英名がわかれば和名にもたどり着ける。

帰国後、さっそくSamanea Wood を調べた。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%83%83%E3%83%89

なに?!ムンゴルは「この~木なんの木♪」の気になる木だったのか!

これからお客様への説明に熱が入りそうです。

ちなみに和名は 「アメリカねむの木」 だそうです。


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