ブログ
BLOG
最近ビックリしたこと
ちょっと前の話になるけれど、ムスコが出た小学校のエド先生からケータイに電話がかかってきた。
2年生を相手に〝ゲストティーチャー〟をやってくれませんか、というものだった。
いや~、まいったな~、というのが本音だったがワタシがPTAをやってた頃にお世話になった先生なので断りにくい。
何を話せばいいんですか、と尋ねると何でもいいですと言う。
それはとっても困ります。何でもいいと言われても。
毎年その時期、ゲストティーチャーを招いて授業を行っているのらしいのだけれど、そのゲストティーチャーの立場は『町の名人』らしい。
じゃあ家具屋だから家具の話だな、と思ったけれどそれだけじゃなくて何か教育的なことも織り込みたい。
そう思いながら日々の仕事に追われ具体的に何を話すのか全く決まらず、まずい、もう明後日じゃないかという段になってあわてて考えた。
家具の話から材料である木材の話、世界中から森林が減っている話、植林、リサイクルといった方向で話をすることにした。
付け焼刃の知識はネットで仕入れ、授業当日になった。
エド先生からは授業時間45分の内、30分話をして15分は質問を受けてくださいと言われたが30分も話をすることなんてできるのか…15分も質問が出るのか…
という心配は杞憂に終わり30分話をして子供たちから質問を受けると、彼らの質問力はハンパじゃなかった。
エド先生がハイもう時間なのでこれまで、というまで質問は途切れなかった。
ふ~、終わったぜ…
で、本題はこれからなんです。
授業は〇年〇組の教室じゃなく『生活室』という教室で行った。
そこには机と椅子は無く、約70人の子どもたちは体育座りで私の話を聞いた。
筆記用具は持っていなかった。
後日、再び江戸先生から電話があった。
先日授業を受けた子どもたちから私への手紙があるとのこと。
先生はわざわざ店まで持ってきてくれた。
何人かの児童がワタシの授業風景の絵と、感想文を書いてくれていた。
「つばき山さんのお話をきいて、木を大切にすることとちきゅうをまもることがわかりました」
とか
「わたしはつばき山さんからしぜんの大切さを学びました」
とか、付け焼刃の授業を提供したワタシが赤面するような文言が並んでいた。
恥ずかしいような、嬉しいような気持ちでそれらを読んでいると「ん?」というものがあった。
コレです。
袖とポケットのところのオレンジ色に注目です。
当日ワタシは名人ぽさを強調しようと作業着を着て授業に臨んだ。
普段は塗装作業で汚れるので使い捨てのナイロンヤッケを着ることが多く、布の作業着はあまり着ない。
だから自分でもよく憶えていなかったけれどそう言えば袖口とポケットのところにオレンジのステッチが入っていたかな、と気が付いて作業着を引っ張り出して見てみると…
オレンジのステッチがある…
さっきも書きましたが彼らはワタシの授業を受けている時、筆記用具は持っていなかったのです。
体育座りで聞いていたのです。
授業が終わり教室に戻ってから、ツバキヤマさんへの手紙を書きましょう、ということになって描いたはずなのです。
机がある、ホワイトボードがある、少ない髪の毛を結んだオジサンがいる、リサイクルの話をするために用意した1kg分の新聞紙の束がある。
それらを思い出して描くのはわかります。
でもね、ワタシが来ていた作業着の、ステッチの場所や色まで憶えてる。
山下清は放浪の中でみた風景を、のちに施設に帰ってから思い出し切り絵で再現したそうです。
最近、ビックリしたことです。