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つばきやのベンチ
「椅子に座る」 という言い方をしますが、本来「座る」とは床や畳に直接腰を下ろすことだそうです。
では、椅子の場合はどんな言い方をするのでしょうか?
椅子には 「腰掛ける」 というのが正しいそうです。
椅子は明治以降、日本に輸入されるようになりました。
庶民の生活の中に椅子はありませんでしたが、身分が高い人はその身分により使用区分が決まっていた〝腰掛け〟があったそうです。
たとえば天皇や皇太子が用いたのは 御倚子 (ごいし)と呼ばれ、背もたれ、肘掛けが付いていました。
では、庶民には 「腰掛ける」 という動作はなかったのでしょうか。
いえいえ、 〝縁台〟というものがありました。
屋台の前の縁台に3~4人が並んで腰掛け、世間話をしながら蕎麦をたぐる。
夏の陽が落ちたころ表に縁台を出して、うちわ片手に夕涼みに、ちょいと腰掛ける。
縁台は庶民の間で活躍していたのです。
ところで縁台を英語にすると Bench.。
つばきやの定番商品、一枚板のベンチは現代の縁台です。
ベンチには様々な形がありますが、つばきやのベンチは一本の丸太をスライスして、それに四本の脚を付けたシンプルなもの。
丸太を切っただけなので太さもまちまち、形も同じ物はありません。
それではこのベンチ、どうやって作るのかご紹介します。
ジャワの古い街、ソロから車で一時間ほど走ったところに 「セレナン」という村があります。
このセレナンを「家具の村」として発展させようと日本のNGOが支援をしています。
つばきやの家具を作る工場はこのセレナンにあります。
その工場の隣にある製材所。
丸太を5㎝厚の板にスライスします。
その板と脚が段ボールで巻かれ、送られてきます。
このパッキンには3台分の天板と脚が包まれていました。ほぼ丸太の重量です。
天板は長さによって分けられ、風通しの良いところで追乾燥します。
脚です。
乾燥した板の、皮をグラインダーで剥き、座面をサンダーで磨きます。
後は塗装するだけ、という状態のものを店内に並べ、お客様に選んでいただきます。
どうですか。いろんな表情の板があるでしょ。
お客様がお選びになった板の裏のホゾにボンドを塗り、脚を打ち込みます。
念のためダボを打って固定。
今日の作業はここまで。
翌日、着色しウレタン塗装を施し、完成です。
このベンチ、ダイニングテーブルとセットでお買い求めになるお客様が多いのですが、昔の縁台と同じく私たちの生活の中の様々な場面で活躍することのできるものです。
用途に合わせ、高さの調整(脚のカット)も無料で承ります。