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人憶力



インドネシア人と多少でも付き合ったことのある日本人が一様に驚かされるのが、彼らの記憶力の良さ。

いや、記憶力じゃない。人を憶えているチカラ、 『人憶力』 とでもいうのだろうか。

バリ島のテガラランはライステラスが世界遺産になっているので有名だが、そのテガラランに至る一本道はハンディクラフトの工房や問屋が連なる一大卸し地帯。

何年か前、そのテガラランである店に入り、いくつかの木工品を注文した。

初めて入った店で、注文した量もたいしたもんじゃなかった。

商談は20~30分。

店の主が応対してくれ若い女の子が伝票を書いてくれた。

それから半年後、再びその店へ行った。

前回注文したモノの売れ行きが良かったので再注文。

そして、前回同様 女の子が伝票を書いてくれる。

そして・・・

彼女は伝票のあて名を書く段になって

「ト・・シ・・」

とつぶやきながらワタシの名前 「TOSHI」 を書いた。

半年前に一度来たきりの、それも20~30分の商談で、自分が話したわけでもない(店主との商談だった)。

外国人が珍しいのでもない。

ハンディクラフトの卸し地帯なのでひっきりなしに外国人のバイヤーが訪れるし、日本人も少なくない。

「Good memory..!」

と言うと彼女はニコッと笑った。

こんなこともあった。

初めてジャワに行った時、到着空港はジョグジャカルタ。

ホテルの予約をしないで行った。

空港に着いて外に出ると、ホテルの予約を受け付けるブースがいくつかある。

そのブースのひとつに行って、空いているホテルを尋ね、予約を入れてもらった。

ブースの、30前後と思われる彼が薦めたのはガルーダ・ホテル。

120年の歴史があり、太平洋戦争中は日本軍に接収され、将校の宿舎だったという4つ星ホテル。

当たり前に泊まれば高いが、その日に空きがあればたたき売りをする。

金を払い、ホテルに渡すバウチャーを書いてもらう。

余談ですが、当時はこの方法が一番安くホテルに泊まれる手段でした。
今はネットのホテル最安値を謳う検索サイト上で予約する方が安いのですが、どうもその方法で予約した部屋はあまりいい部屋ではないような気がします。
先日も定宿にしているいるホテルを検索したら、いつも払っている金額よりも安いのでさっそくネット予約。
通された部屋は間取りこそいつもの部屋と変わらないものの窓の外には巨大なエアコンの室外機が見え、ウンウンとうなりを立てているのです。
もう何十回と泊っているホテルですがそんな部屋があったのを初めて知りました。
たまたまかもしれませんが・・

一連の手続きが終わってブースの彼が言った。

「ホテルまで車で送る。7万ルピアでどうだ」

初めての土地なので空港からホテルまでの距離がわからない。

7万ルピアが高いのか妥当なのかわからないが、きっと高いのだろうと思って値切った。

3万にしろと言ったがダメ。じゃ5万と言ったがダメ。

結局彼の車を断りタクシー乗り場までトランクを転がして行ってメータータクシーに乗った。

ホテルまで9万ルピアだった。

アイツの言ってた7万ルピアはサービス価格だった。

それから半年後、再びジョグジャカルタを訪れた。

この時もホテルの予約は無し。

半年前にホテルまで7万で送るといった彼はいるかな、と思いながら空港のゲートを出ると、まさしくその彼がいて こちらに向かって片手を挙げた。

「トシ!」

こちらは半年前のことを思い出しながら来たので彼のことを認識できた。

だが、彼は今日ワタシが来ることなど知らない。

ゲートから出てくる何百人という客の中から、半年前に一度会ったきりのワタシを見つけて声をかける。

そしてバウチャーに記した名前を憶えている。別に名刺を渡したわけじゃない。

ホントーに驚いた。

その後2~3回彼のところで予約をしたけれど、いつのまにか彼はいなくなり、中年の男性に替わった。

ワタシは日本人の中でも特に人憶力の低い方なので、彼らの人憶力の良さにはいつも驚かされます。

先日もテガラランの通りを歩いていたら、バイクに乗ったおっさんが片手を挙げながら 「トシー!」 と大きな声をかけながら走り去って行った。

こちらも手を挙げ「オッ!」と応えたけど。

誰だっけな・・・


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