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無念の本棚



近頃見かけなくなったけど、ひところ家具の材料として出回っていたのが線路の枕木。

何十年も土中に埋められていた枕木は、その独特の風合いが私の心をわしづかみにする。

コレです。

棚

枕木をスライスして作った棚板。

ところどころに開いている穴は線路を留めていた跡。

枕木の材料は英名:バンキライ、中国では玉壇と呼ばれる、すんごく堅くて重い木。

日本の枕木のように防腐剤を塗ることもなく、何十年も土中においても腐らない木なのです。

 

 

 

太平洋戦争前、オランダの統治下にあったインドネシア。

その頃ジャワの豊富なサトウキビから砂糖を作るため、オランダから機械が持ち込まれ製糖工場がいくつも建てられたそうな。

上述の枕木は、そのサトウキビのプランテーション(大規模農場)からサトウキビを製糖工場へ運ぶ貨物線の枕木。

工場建設から約70年も経ち、メンテナンスを繰り返しながら稼動させてきた機械もいよいよ老朽化し、また砂糖も昔のように貴重なものではなくなった現在、新しいマシンを導入して工場を存続する意味を持たなくなった。

工場閉鎖に伴い枕木が材料として市場に出回り、一時はこれで作られた家具がたくさんあったもんです。

 

工場の閉鎖もひと段落したのか最近はとんと見かけない。

 

 

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ワタシの好きな枕木が出回らなくなったので、新材を古木に見せるよういろいろ工夫してるのです。

ワイヤーブラシを高速で回転させてキズをつけ、濃茶の塗料で仕上げるとこんなカンジ。

でも、本物にはかないません。

 

 

 

 

 

 

 

ところが!

先日ジョグジャカルタのリプロダクト(古い家具を再生させる)家具屋でこの枕木を見つけた!!

IMG_0058

 

このリプロ家具屋のある通りは「イモギリ」といって、同じような工房が軒を並べている。

何軒かの工房の前にこの枕木が積まれていた。

またどこかの製糖工場がつぶれたのだろう。

だが、以前に比べ値段が高くなっている。

需要と供給のバランスだね。

全部この材料を使うと高いものになるので、天板だけにこの枕木を使った本棚を作ることにした。

枕木の幅は20センチ。

製材すると18センチ。

奥行きが浅いので文庫用の本棚とした。

背が高いと安定性を欠く。

なので高さは100センチ、横幅は85センチ。

できあがりが楽しみ・・

にしてたところ・・

 

 

つい先日、運送屋の女社長からこんなメールが来た。

『我々の親愛なる顧客へ

セマラン港(つばきやの家具を積んだコンテナが出港する港)では次に挙げるものがセキュリティ・チェックの対象となりました。

1.一枚板のテーブル 2.・・・4.使用済みの枕木 5.・・・

税関が疑わしき点を見つけた場合、パッキングされる前の写真を要求され、彼らは次のステップを決断します。
(中略)
いずれの場合もコストと時間を必要とします。』

 

 

なんてこった。

理由はわからないが、木材の流出に神経を尖らせている、と言ったところか。

チェックの結果、何も無いかもしれないが、〝次のステップ〟へ行くと出港停止もあり得るらしい。

枕木、やめとこ。

 

と言う訳で、今回の『枕木の本棚』あきらめました(製造中止を指示しました)。

 

無念・・

 

 

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