ブログ
BLOG
サンマの季節
サンマが旨い。
この時期、ワタシは毎日サンマでもいい。
先日、「今日はサンマ食いたい!」 と思ってスーパーに入った。
時間が遅かったのもあって鮮魚のコーナーには頭を落とされ長さを半分に切られたパック入りのサンマしかなかった。
どうせ頭は食わないし、半分に切れてる方がグリルで焼きやすい。
家に帰ってパックからサンマを取り出すと、なんという事か、はらわたまで抜かれている。
バカな・・
あのほろ苦いはらわたが旨いのに。
二度とパック入り、「調理済」というヤツは買わん!
大根おろしにスダチを搾り、醤油をちょいとたらし、はらわたの上に乗っけて口へ運ぶ。
ああ、書いてるだけで唾がわいてくる。
33、4の頃、それまで11年間勤めた出版社を辞め、ワタシはフリーター生活をエンジョイしていた。
もう、20年近くも前のことになるのだなあ。
居酒屋でバイトをしたり、トラックの運転手をしたり、時間を作ってはベトナムに旅行に行ったりしていた。
ホーチミンの路上でフォー(ベトナムのスープ麺)の朝飯を食べた。
すると、近くにいた同じくフォーを食べているおばさんが、身振り手振りで食べ方を教えてくれる。
ちっちゃいテーブルの上には何種類かのハーブと香辛料、ライムなどが用意されている。
おばさんは私のフォーの上にドッサリとハーブを載せ、ライムを搾り、輪切りの生唐辛子を入れてどんぶりの底からひっくり返すようにグッチャングッチャンに混ぜる。
は~、そーやるんすか。
おばさんは満足そうに、どうだ、こうするとウマイだろ、という顔をしていた。
ベトナムから帰ってくると、ワタシは池袋の居酒屋のバイト生活に戻った。
小さな居酒屋で、なかなか楽しい職場だった。
場所柄、外人も多かった。
ある時、白人の二人連れがテレビカメラを抱えて入ってきた。
注文を訊きに行くと日本語は全くできない。
片言の英語で尋ねてみると〇〇から来たテレビクルーで、△△を取材してきたらしい。
ここの〇〇と△△のところが思い出せない・・
憶えているのは、彼らが「サンマ定食」を頼んだこと。
そして、彼らはヨチヨチと割り箸でサンマをつつき、ライスを食べた。
だがな、それじゃダメなんだよ!
なぜなら皿の上には手付かずの大根おろしが・・
あ~もったいない。
ワタシは彼らのところへ行き、口で説明しようと思ったがすぐにあきらめ、こーするんだよ、と大根おろしに醤油をたらしスダチを搾って、イート・トゥギャザー、一緒に食べろと教えた。
ああ、ベトナムのおばさんはこんな気持ちだったのだな。
サンマの季節になると思い出す。