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スパイスミルだとさ・・

コレは「スパイスミル」だそーです。
だそーです、なんてちょっとウタガイのココロを含んだ言い方をしたのには訳があります。
コレを見つけたのはソロの骨董屋。
骨董屋の店主に「コレはコーヒーミル?」と訊いたところ、返ってきた答えは「スパイスミル」。
その時は、コレはスパイスミルなんだ、といささかのウタガイも持たなかった私でしたが、同じ店内に少し形は違いますが同じ構造のものを見つけたのです。
「コレもスパイスミル?」と訊くと、それはコーヒーミルだといいます。
そのスパイスミルとコーヒーミルを並べてじっくり観察しましたが、私にはふたつの“ミル”の違いを見つけることができませんでした。

<どこで、どんな人がスパイスを挽いていたんだろうか・・ 見ているといろいろなことを想像してしまう取手です>
コーヒー豆やスパイスをすりつぶす歯の部分の構造もサイズも、ほとんど同じです。
自分で使ってたわけでもあるまいし、なぜ、コレはスパイスミル、アレはコーヒーミルと言い切れるのでしょうか・・

まあ、しかし、その姿の美しさに魅かれ買ってきました。
私にとって、こういった生活の中で使われてきた古物は、アンティークの工芸品にはない魅力を感じさせてくれます。
じっと眺めていると、このスパイスミルが使われていた情景が見えてくるようです。
私の想像はこうです。
使われていたのはレストランの厨房の隅っこ。
入りたてのコック見習いの少年が、他の先輩コックよりも早く出勤して、その日に使う分のスパイスを毎日挽いていたのです。
故郷の母を思い、切ない気持ちでハンドルを回したこともあったし、となりの安宿の従業員と冗談を言い合って笑ったこともありました。
やがて少年は中堅のコックになり、スパイス挽きは新入りのコックの仕事になりました。
そして・・
いや、もうそろそろやめましょう・・まったく私の想像癖は・・
安上がりな趣味です。

<ミルの縁にはメーカー名が。骨董屋の店主がスパイスミルだと言い切る根拠はコレかもしれない>
<写真の商品 ¥7,300(税込)>