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海の記憶
役目を終えた木造船の解体材を使い、新たに家 具として生まれ変わった椅子です。
船の材料として使われる木とはどんなものでしょうか?
まず、水に強く腐らないこと。そして、堅牢であること、狂いが少ない事・・
そう、家具を作るのに最適な材料なのです。
近頃はいくつかの家具メーカーが「船材を使って家具を作っている」ことをアピールするようになりました。
ただし、船は家具と違い木目の美しさは求めませんので、木材に節があります。
しかし、私はその節に「木の持つ力強さ」といったような魅力を感じるのです。
真っ直ぐな柾目の材は貴重なもので、とても美しいものです。
一方、節は樹木が枝を伸ばして陽光を受けとめ、呼吸をしてきた証でもあるのです。
船を造るとき、潮で錆びるので釘は使いません。“ダボ”と呼ばれる木の棒で木材と木材をつないでいます。
だから、時々そのダボが製品の表面に顔を出すことがあります。
ダボがまったく見えない、きれいに仕上がったものもありますが、私はこの「海の記憶」の残るものの方が好きです。
最近は森林保護の観点から樹木の伐採制限が厳しくなり、船作りの材料となるチーク材が高騰しました。
そのため、新しく造られる船はほとんどがグラスファイバー製だそうです。
この、私のお気に入りの家具の材料となる船の解体材も、いつかは無くなってしまうんでしょう・・
ちょっと寂しい気がします。
<写真の椅子 ¥16,800(税込)>
何本ものダボで連結されている
船材を解体しているところ