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桃のタネ
昨年末、中国最大の古物市場「藩家園旧貨市場」を丸2日歩き回りました。
売られている、中国全土から集まった膨大な古物、なるほど価値がありそうだな、というものもあり
ましたが、こんなの売れんのかい!とツッコミたくなるモノもたくさんありました。
たとえば「石」。
彫刻のヒスイ、なんてのはわかります。
それら“彫刻モノ”を扱う店が集まるエリアには何十件と同じ店が並びます。
しかしそれに負けない規模で“石コロ”を扱うエリアがあります。
緑だったり赤だったり斑だったり、そこらへんに落ちている石ではないけれど、形はただの石コロ。
大小さまざまな石コロをトランクや鞄に詰めてきた売り子が何十人と並びます。
そして、それを買うヤツがまた大勢います。手にとって表裏じっくり見てるやつ、陽に透かしてるヤツ、自前のルーペで仔細に点検してるヤツ・・
それから、「木の球」。
球状に削られた木、これも大小さまざまなのが売られています。
ふたつの木の球を両の手に載せて思案してるヤツ、匂いを嗅いでいるヤツ・・
そして、もひとつ、こんなのがねえ・・というのが「桃のタネ」。
これまたたくさんの“桃のタネ”屋がいて、これまたどの店にも客がいる。
ただの桃のタネですぜ。
彫刻が施されているわけでも、色を塗ったり、絵が描かれているわけでもない、ただの桃のタネ。
しかし、よく見るとデカイ。
タネがあの大きさなら、果実は相当デカかったろうな、というサイズ。
強いて言えば「立派な桃のタネ」。
タネにもランクがあるようで、カゴに山盛りにされているもの、ビニール袋に入れられたもの、うやうやしく箱に収められたモノなどがあります。
大きさや色艶の問題なんでしょうか・・
色が濃く、大きくツヤがあり、古そうなものほど高い位置にいるようです。
アレを買うヤツの“桃のタネコレクション”は、きっとひとつやふたつじゃないでしょう。
自宅には桃のタネがゴロゴロしていて、同好の士と「どうだいこの色つや!」 とかいって自慢しあっているんでしょうね。
門外漢のワタシには理解できない世界でも、彼らにとっては奥の深い世界なんでしょうね。
後日、“桃のタネ屋”を撮った写真を見ていて、気がつきました。
そうか!
カゴ盛にされているものは別にして、タネはどれもペアになっています。
ビニール袋に入っているものも2個、箱入りのも2個。
そして、1枚の写真の隅に写っている掌の上に載ったふたつの桃のタネ。
あれですよ。
手の平の中でコロコロカリカリ転がすクルミ。
クルミだと思っていたけど本当は桃のタネだったのね・・
だとすると、売られていたあの桃のタネの中には、清の時代から持ち主を転々として百数十年・・なんてのがあるんでしょうね
たぶん・・