教えたくない宿

我が家のムスコもいつの間にか高1。

もう親といるよりも友達と過ごす方が楽しい歳になった。

自分がその年代の頃のことを振り返ってみてもそうだ。

 

 

仕事柄ムスコが幼いころから海外に連れて行った。

小学校へ上がるまでは年に4~5回いろんな国へ行った。

タイ、ベトナム、インドネシア、中国、台湾、etc…

だが、小学校に入るとそうもいかなくなる。

「ちょっと出張のついでにムスコも連れていきますので学校休みます」

とは言えない。

だから学校に上がってからはムスコを連れていくのは私の出張と学校の春休み、夏休みなどとが重なったときに、何年かに一度の割合になった。

出張先の、取引のある人たちも、だからムスコの印象は今でもオムツをはいてよちよち歩く『シンチャン』だ。

当時アジアではアニメの『クレヨンしんちゃん』が大流行していて、ムスコの名前がシンチャンだというとレストランのコックさんが厨房から出てきて『シンチャン』を見に来た。

 

 

親と一緒に旅行に行くのはもう最後だろう。

そう思ったので今年の夏は家族でインドネシアへ。

インドネシアの玄関口はバリ島。

バリには今ではほとんど取引先が無く、仕事の主戦場はジャワ島だが、リラックスできるのはやっぱりバリ。

いつもはひとり旅でスケジュール優先で素通りしてしまうのだが今回は仕事3割家族サービス7割。

「仕事」前にバリで3日のんびりすることにした。

「のんびり」に大事なのは宿。

ここにはワタシにとって、とっておきの宿がある。

 

 

十年ほど前にバリフリークの日本人のサイトで人気ナンバーワンになったことから予約を取るのがとても難しい宿になったのがアラム・ジワ(Alam Jiwa)。

二か月以上も前に予約したのに10室中空いているのは1室だけ。

7人泊まれるスィートだけ。

昔、宿泊客がいないときにこのスィートの部屋を見せてもらったことがあり、一度泊まってみたいなと思っていたので即予約。

 

 

家族で最後にバリに来たのは5年前。

その時もここに泊まろうと思ったがやはり満室だった。

5年前に泊まったのは渓谷の宿で、そこにはプールが無かったのでアラム・ジワまでプールに入りに来た。

支配人のコマンさんはゲストでもない私たちに

「オカエリナサイ」

と優しく微笑み、胸ポケットから取り出したハーモニカを吹いてくれた。

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そのコマンさんも3年ほど前に亡くなった。

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合掌

 

 

ところでこの宿をホテルと呼ぶのには違和感がある。

机の上を歩くカラフルな虫。

壁に這う小さなヤモリ。

朝に聞こえる鳥の声。

窓の外、遠くに見える農夫。

設備の整ったホテルを期待している人には不快に感じることがあるかもしれない。

 

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石の洗い出しの小道の横には小さな川が流れる。

 

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小道の突き当りにあるスィートの入り口。

 

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玄関は3階建ての2階部分にあり、階段を下りると1階はキッチンのあるダイニングルーム。

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2階のベッドルーム

 

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2階のリビング

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ここでもゲームかい

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2階のバスルーム

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2階と3階にはそれぞれベッドルームとリビング、バスルームがある。

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3階のベッドルーム

 

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3階のリビング

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3階のリビング

 

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デスクがふたつ。一度も使いませんでしたが…

 

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窓から

 

 

ところで昔は宿泊客の8割が日本人だったけど今回は欧米人の姿しか見ない。

その理由を尋ねると最近は欧米からの予約が増え、日本からの予約を受けずらくなったということらしい。

いつも来てくれていた日本の〇〇さんや△△さんの予約を断ることになり残念です、と言っていた。

トリップアドバイザーの罪ですな。

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スィートと言っても価格はTAX&サービス料込みで1泊236ドル。

今円高だから24000円くらいです。3人で。

ひとり8000円ですよ。

日本だったらビジネスホテルの値段です。

でもね、一度は泊まってみたかったスィートだけど我々3人家族では手に余った。

3日間の滞在で1階と3階は〝見に行った〟だけでほとんど使わなかった。

デラックス(83~100平米 125ドル)、ライスフィ-ルドビュー(61~77平米 105ドル)で十分です。

http://www.alamindahbali.com/alam_jiwa.htm

 

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アラム・ジワの宿泊料の領収書は手書き。

ここは予約帳もレシートもすべて手書きです。

パソコンでプリントアウトっていうのはここにそぐわない。

 

 

ところでこの宿はバリのドライバー、カデ君が教えてくれた。

彼はこのアラム・ジワとドライバーの契約をしている。

客が要望すればホテルのドライバーとして客を乗せる。

 

十数年前、彼がいい宿があると言ってここを教えてくれた。

どんな風に良いのか尋ねると、スタッフが良いと言った。

箱がよくても、宿の評価を決めるのはそこで働いている人たちだ。

彼らはフレンドリーで、でもゲストとスタッフの立場をわきまえていて、客がここの滞在に感動することを自分の喜びとしている。

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3日間の滞在を終え出立するときにアラム・ジワのスタッフがこう言った。

「イッテラッシャイ」

また帰ってきてください。その気持ちを込めてなんだろうね。

 

こんないい宿があるよって、教えたいような教えたくないような、複雑な気持ちです。