ハナの子ども  ミギー

15年前に迷い犬だったのが、いつのまにか我が家のワンコになったのが ハナ。

迷子になっていたハナを保護したのだが、当時はペットを飼ってはいけない借家に住んでいたので、一応 大家さんに飼い主が見つかるまで預からせてください、と頼んだ。

大家さんはとてもいい人だったので気持ちよく いいですよ、と許可をもらったが後になってその犬が妊娠していることがわかった。

大家さんに言い出せないまま、ひと月経つと6匹生んじまった。

可愛い子犬たちだった。

生まれたばかりなのにそれぞれ違った性格を持ち、毛の色も違った。

茶色いやつ、黒いやつ、ブチのやつ。

かなう事なら6匹全部飼いたかったが、それは許されなかった。

さっそく子犬たちの貰い手探しに奔走した。

当時勤務していた会社のアルバイト君、近所の新聞販売店、友人の友人・・・

1匹ずつ貰われていったが最後の1匹の貰い手がなかなか見つからなかった。

何しろ雑種である。

犬を飼いたい、という人はそこそこいるがレトリバーだとかマルチーズだとか「〇〇犬を飼いたい」という希望があるようだ。

「雑種ですか・・・」と言われ断られることが多かった。

 

そんな中、空手部の先輩で当時同じ会社に勤務していたタカタ先輩に子犬のことを話した。

「先輩、子犬いりませんか?」

「お、いいよ。」

どんな犬か、どんな事情かなど何も説明しないうちにあっさりとした答えが返ってきた。

「雑種ですよ?」

「犬は犬だろ。」

竹を割ったような性格であるのは承知していたが、あまりにスカっとした応答に思わず笑いが出た。

 

当時金沢に住んでいたワタシの家から、東京の先輩の家まで子犬は『犬の宅急便』で送られた。

ワンボックスカーが〝集荷〟に来て、小さなかごに入れられた。

犬のサイズや種類(雑種か、高価な犬か)によって料金が決まるようだがたしか9千円くらいだったと思う。

子犬は先輩のお宅で、当時流行っていた青年誌コミックの登場人物(?)にちなみ「ミギー」と名付けられた。

 

最後のミギーが貰われていって、母親のハナだけが残った。

成犬は貰い手がいないので我が家で引き取り、犬を飼ってもよい借家へ引っ越した。

 

年賀状などで成長したミギーの写真を見たことはあるが、あれからあの子犬、ミギーとは会っていない。

 

昨日、タカタ先輩からメールが来た。

 

『ミギーです
 本日午前2時、永眠しました。
 椿のおかげで家族皆 良い思い出の14年を共有できました。
 奥様にも宜しくお伝えください。』

 

ミギーをかごに入れて東京へ送った日が、ついこの間のように思える。